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BEAST IN BLACK(ビースト・イン・ブラック)
BATTLE BEASTの創設メンバーでメインソングライターと、間違いなく中心人物でありながら、実質「解雇」という一見不可解な経歴のアントン・カヴァネンが、改めて結成した第二の自らのバンドが、このBEAST IN BLACKである。「BEAST」というフレーズにはこだわりがあるのか。メンバーはアントン・カヴァネン(G,Vo)、ヤニス・パパドプロス(Vo)、カスペリ・ヘイッキネン(G)、マテ・モルナール(B)、サミ・ハンニネン(Dr)という5人。キーボードサウンドを前面に出しているものの、パーマネントのバンドメンバーとしてキーボード奏者がいないことに違和感を感じるのは古い考え方か。
Mld ★★☆
Spd ★☆☆
Key ★★☆
Bri ★☆☆
Voc ★☆☆
アルバムリスト
BERSERKER(バーサーカー)(1st/2017)

デビューアルバム。「伊藤政則のロックTV」という番組後半の新譜情報で流れていた2曲目の「Blind And Frozen」のMVをチラッと見た(聴いた)ことがきっかけで興味を持ったのだが、調べると、YouTubeで他にもLyric Video等が公開されており、どれも良い曲ばかりで、アルバムを買ったら、やはり素晴らしいアルバムだった。というのが彼らを知った経緯である。作品に共通されているのは歌メロの良さ。どれも耳に残りやすいメロディで、しかもカッコ良い。ヴォーカリストのルックス(スキンヘッドに長いあご髭)は個人的にフロントマンとしては△だが、歌唱力の高さは良い意味で驚き(時折TWILIGHTNINGのヘイキ・ポイヒアの歌い方にそっくりな部分がある)。キーボードサウンドが前面に出てきており、速さは抑えめでも、メロスピファンにも聴いてほしい楽曲が目白押し。機械的な印象も受けるキーボードサウンドはAMARANTHにも近い。曲の長さは3〜5分とコンパクトで聴き易い点も◎。ただ全体の構成としては、後半にもう1曲くらいスピーディーなメタルチューンがあると締りがあってより良かったのではないか。曲順・構成で損をしている気がするが、一応デビューアルバムであり、そこは今後に期待。なお、日本のコミック「ベルセルク」のファンだということで、ベルセルクの英語読みがバーサーカーということからこのタイトルを付けた模様。
1-Beast In Black(ビースト・イン・ブラック)
アルバムタイトルトラックは存在しないが、バンド名を冠したこの曲が実質タイトルトラックであり、リーダートラックでもある。サビでバーサーカーと歌っているし。曲はスピード感のあるメタルチューンでサビは非常に盛り上がり、オープニングトラックとして掴みはバッチリ。テクニカルなギターソロも聴ける。オフィシャルのLyric Videoが製作されている。 Mld.Spd.Key.Bri.
2-Blind And Frozen(ブラインド・アンド・フローズン)
MVが製作されたミドル〜アップテンポのメタルナンバー。歌メロの良さが際立つ秀曲。この曲をオフィシャルビデオとしたのは大正解。キラキラと派手な印象のサウンドもあれば、冷たいピアノの音色も美しく、キーボードが目立つ。サビは高揚感があり盛り上がる。ギターソロもカッコいい。2コーラスが終わった後のギターソロの前が非常にTWILIGHTNINGっぽい。MVでは単純と言われても仕方ないが、サビの前のツインギターのシンクロする動作が好き。ヒロイン役のルックスは正直微妙。 Mld.Key.Bri.
3-Blood Of A Lion(ブラッド・オブ・ア・ライオン)
勇猛なキーボードサウンドが特徴のイントロで始まるミドルテンポのメタルチューン。静かに歌い出すが、サビではタイトルを歌うキャッチーなコーラスが印象に残る。 Key.Cla.
4-Born Again(ボーン・アゲイン)
スロー〜ミドルテンポのロックバラード的ナンバー。公開されたLyric Videoではヴォーカルのヤニス・パパドプロスが一人歌う映像付きという半MV。静かなピアノサウンドが効果的。 Mld.Key.
5-Zodd The Immortal(ゾッド・ジ・イモータル)
序盤からスピーディーでゴリゴリとしたアグレッシブなパワーメタルナンバー。序盤はグロウルに近い歌い方だが、サビになると通常の声で歌っており、歌メロの良さが際立つ。キーボードは抑えめだが、良い味を出している。こちらもLyric Videoとして公開された。 Mld.Spd.Bri.
6-The Fifth Angel(ザ・フィフス・エンジェル)
6曲目だが、Fifth。ミドル〜アップテンポのメタルナンバー。リズミカルなキーボードサウンドが気持ち良い。後半にはテクニカルなギターソロが聴ける。 Mld.Key.Bri.
7-Crazy, Mad, Insane(クレイジー・マッド・インセイン)
イントロから機械的なキーボードサウンドが印象的なミドルテンポのナンバー。そのサウンドは時にユニークでもある。歌メロの良さは全編通してだが、さらにタイトルが歌詞にあり、耳に残りやすい。このキャッチーさはシングルカットしても面白そう。終盤にギターソロがあるが、おっ!と思ったらそのまま曲が終わる。メタルっぽさは薄い。 Mld.Key.Bri.
8-Hell For All Eternity(ヘル・フォー・オール・エタニティ)
キーボードサウンドが前面に出たスロー〜ミドルテンポの1曲。キャッチーなコーラスが特徴のサビ、唐突に始まるテクニカルなギターソロ等、聴きどころはあるが、全編を通して見ると地味め。ボーナストラック。 Mld.Key.
9-Eternal Fire(エターナル・ファイア)
EUROPEの代表曲「The Final Countdown」を想起せずにはいられない、ミドルテンポのハードロックナンバー。あえて寄せていると言っても過言ではない。タイトルをそのまま歌うサビは「ザ・ファイナル・カウントダーーゥン」と被せたくなる。良い曲なのは間違いない。 Mld.Key.
10-Go To Hell(ゴー・トゥ・ヘル)
コミカルなキーボードサウンドが印象に残るミドル〜アップテンポのメタルナンバー。こちらも8曲目と通じるが、似たような曲。良い曲で耳に残りやすいサビのコーラスも良いのだが、若干地味か。ボーナストラック。 Mld.Key.
11-End Of The World(エンド・オブ・ザ・ワールド)
キラキラとしたキーボードサウンドが前面に出たスピードメタルナンバー。静と動という変化に富んだ展開は◎。キラーチューンの一つ。個人的におすすめ。ただそれだけに勿体無いのが曲順。12曲目と逆のほうが良かったような気がする。タイトルからしても。 Mld.Spd.Key.
12-Ghost In The Rain(ゴースト・イン・ザ・レイン)
非常に静かなスローテンポのバラードナンバー。曲も良く、ピアノのメロディも美しい。それだけに曲順を変えて、ラストではなく終盤に置けばもっと印象が変わったのでは。バラードで締めるのが悪いわけではないが、唯一のバラードをここに持ってくるというのはどうかと思う。 Mld.Key.
FROM HELL WITH LOVE (フロム・ヘル・ウィズ・ラヴ) (2nd/2019)

衝撃とも言えるデビューアルバムから2年ぶりに発売された2nd。最初に公開された3曲目を聞いたときは正直ポップ過ぎて不安だったが、作品全体としてはスピードチューンあり、バラードありと前作を踏襲したバラエティ豊かな印象。タイトルをサビで歌うパターンが多く思い出しやすい点も良い。余談ではあるが、発売直後は大きなCDショップでも扱っていなかったが、しばらくしてからあちこちで置くようになった。と思う。売り切れていただけという可能性は低いので、全国的に売れ行きが好調だったために扱うようになったと思われる。自分はこまめにチェックしていたが、発売してからしばらくして、初めて行った大きめなCDショップで見つけてやっと購入できたが、その直後に最初は置いていなかったよく行くCDショップでも見かけるようになった。
1-Cry Out For A Hero (クライ・アウト・フォー・ア・ヒーロー)
スピード感溢れるメタルナンバー。バラエティ豊かなアルバムだが、こういう曲を1曲目に持ってくるのは嬉しい。あくまでこれがメインとアピールしているよう。 Mld.Spd.Key.
2-From Hell With Love (フロム・ヘル・ウィズ・ラヴ)
ミドル〜アップテンポのタイトルトラック。3曲目に続いてMVが公開された。こちらのほうがメタルファンにはアピールできるカッコ良さがある。キャッチーなメロディで聴きやすい。 Mld.
3-Sweet True Lies (スウィート・トゥルー・ライズ)
最初にMVが公開された曲。アップテンポのナンバーで、非常にポップで80年代の雰囲気を感じさせる。あえて古い感じの雰囲気でモテ男っぽい役が全然イケメンじゃないのも狙いか。 Mld.
4-Repentless (リペントレス)
キーボードサウンドが前面に出ているミドル〜アップテンポのメタルナンバー。 Mld.Spd.Key.
5-Die By The Blade (ダイ・バイ・ザ・ブレイド)
前作にもあったヴォーカルのヤニス・パパドプロスが出演するLyric Videoとして公開されたアップテンポのメタルナンバー。こちらもキーボードが目立つ曲。 Mld.Spd.Key.
6-Oceandeep (オーシャンディープ)
フルートの音色が印象的な静かなスローバラード。アコースティックギターも良い。 Mld.Key.
7-Unlimited Sin (アンリミテッド・シン)
ミドルテンポのナンバー。キーボードサウンド良い味を出している。雰囲気は明るめ。 Mld.Key.
8-True Believer (トゥルー・ビリーヴァー)
ピコピコというサウンドが印象的なメタルチューン。それ以外でもキーボードサウンドが前面に出ていてカッコ良い。サビはタイトルを歌うパターンで憶えやすい。ソロもなかなか◎。 Mld.Key.Bri.
9-This Is War (ディス・イズ・ウォー)
スローテンポのヘヴィなメタルナンバー。歌メロはしっかりしており聴きやすい。間奏部では雰囲気をガラッと変え、フルートの音色で緩急というか変化をつけるところがニクイ。 Mld.Key.
10-Heart Of Steel (ハート・オブ・スティール)
スロー〜ミドルテンポのロックナンバー。さり気ないが良い味を出しているキーボードが良い。
11-No Surrender (ノー・サレンダー)
スピード感のあるメタルナンバー。本編の最初と最後にこういう曲をもってくるのは、やはり嬉しい。ヘヴィで激しい展開だが、メロディがしっかりしており、個人的にはサビからソロの間の部分がおすすめ。 Mld.Spd.Key.
12-Killed By Death (キルド・バイ・デス)
ボーナストラック。MOTORHEADのカヴァー。ミドルテンポのヘヴィなメタルチューン。イントロのギターがカッコ良い。声質は似ているのか寄せているのか、レミー・キルミスターに少し似ており、全体的にオリジナルに忠実な印象。弾きまくりのギターソロとキーボードサウンドは自らの色を出していて良い。 Key.
13-No Easy Way Out (ノー・イージー・ウェイ・アウト)
ボーナストラック。映画「ロッキー4」挿入歌のロバート・デッパーのカヴァーでスローテンポのロックナンバー。こちらは幾分メタルっぽくアレンジしてある。曲がそもそもカッコ良い。以前にBULLET FOR MY VALENTINEも2ndアルバムでカヴァーしていた。 Mld.Key.