EVOKEN FEST 2024 ライブレポート
2024年10月20日(日) EVOKEN FEST 2024 day-2
- 会場(キャパシティ)・・・渋谷ストリームホール(700人)
- お客の入り(推測)・・・6割
- チケット代・・・15,000円(+ドリンク代600円)
EVP主催のEVOKEN FEST 2024の2日目。前夜祭(10/18)を含めると3日目で、金〜月曜日までという日程で開催された。今回初めて知ったのだが、過去にも開催されていた様子。2017年から3年連続で開催されていたようで、今回は5年振りの開催。主催者のX(旧ツイッター)の投稿を見ると、赤字覚悟でやっているようで、メタルファンには大変ありがたく、是非応援したい。
自分の話をすると、メタル友達からエレジーの来日予定の話を聞いたことがきっかけでこのフェスを知ったのだが、調べていくうちにエレジーよりもグローリーハンマー、ファイナルストライクというバンドに強く興味を惹かれ、北海道から観戦を決意した次第。その中でこの日(10/20)がどちらも観られて、エレジー、ヒブリアといったベテランも出演するということで、予算的に1日だけの参加にした。このラインアップを楽しめて15,000円は割安に感じる。
ライブ本編の前の話。この会場はたまたま自分が前に観たライブ会場。約5年前のSYMPHONIC METALLIZATION以来のライブ。この直後に新型コロナが…。最近になり規制が緩和され以前のようにライブを楽しめるようになり、来日公演も当たり前に行われるようになった。ただ以前と比較し料金が爆上がりした印象。とは言え、今回のようなフェスでこの価格ならお得感がある。因みにドリンク代は2割増の600円となっていた。用意する客側も、お釣りを用意する運営者側もやや手間のかかる価格設定になってしまった。フェスということでビールとフェス飯の販売があるということで、どういうものかと思ったらカレーライスだった。カレーライスが悪いわけではないし、大好きではあるが、ああいう場所ではなかなか食べようという気にはならなかった。またその場所が、物販と同じフロアの、奥の半分ほどのスペースで、長めのテーブルと椅子というのがオフィスっぽさを感じる寒々しい空間で、なんとも食事には落ち着かない場所だったのも食べようと思わなかった理由でもある。
開催前からチケットの売上が芳しくないのは主催者のSNSで知ってはいたが、実際に会場に入るとそこまでスカスカという印象は受けなかった。それでも満員の半分程度(主催者発表)というのは意外だった。先に言うと、バンドごとに客の入り具合は大分変動があった(詳細はバンドごとのレポートで)。また、公式SNSで注意事項を見たところ、基本的に撮影OKで、動画も他の観客の迷惑にならない程度(約30秒)ならOKというのは大変ありがたく、好感が持てた。禁止にしたところでいちいち規制するのは不可能だから、ということかもしれないが。
15時開場後、物販に並ぶ人がかなりいて、開場から1組目の開演までが30分しかなく、貧乏性の自分は特にファンでもないバンドであっても全部観たいという思いから、1組目が終わってから買いに来ることにしてILLUSION FORCEを観ることにした。客の入りはまずまず。日米韓の多国籍の5人組メロスピバンドで、フロントマンは短髪ですっきりとしたルックスのイケメン韓国人。ベーシストがアメリカ人で、残りのギタリスト2人とドラマーは日本人。曲もなかなか良かった。途中のMCは日本人ギタリストが、持ち時間をオーバーしないようにと、カンペ(というかスマホの画面)を見ながら話していた。今回初参加で1組当たりの持ち時間は知らなかったが前半4組は約30分のようで、曲数にして5曲程度でアンコール無し。ある程度予想通りではあったが、あっという間だった。自分は事前にネット動画で数曲予習した程度だったが、曲もなかなか良かった。ファンも多数いたようでなかなかの盛り上がりだった。ネット上で公開されていた音源のなかに、4番目に登場するファイナルストライクのクリスチャン・エリクソンが歌っている曲があり、もしかすると…と期待していたが、持ち時間等を考慮してか、それは無かった。余談だが、ボーカリストが時折フロア右後方に手を振っていて気付いたが、その一角にVIP席があり、そこにいたファンに向けてのものだった様子。VIPはフロア最前列エリアと、後方の座席があったようだが、座席といっても即席で設置した感のあるパイプ椅子というか会議室で使うような椅子で、なかなか不思議な光景ではあった。二階指定席があればVIP感はあったと思うが、それがこの会場には無いのでそうしたのだろう。
1組目が終わり、セットチェンジの間に物販に向かったのだが、目当てのフェスTシャツは既に完売しており、断念。後日ネットで受注販売を行っていたが、送料を追加料金として払ってまでという気にはならず。他のバンドTシャツも検討したが、結局はクローゼットの衣類ケースに眠るだけかと思い断念した。
2組目の前にステージについて。最初から不思議に思っていたステージ上のドラム配置。奥に2セットあり、1組目では右奥のドラムセットを使用していたので、素人考えで交互に使うのかと思ったがそうではなく、左側はノータッチで2組目も右側のセットのみを変更・調整していた。また、バンドロゴのプリントされたバックドロップ(垂れ幕)が全バンド分セッティングされているようで、1組終わるごとに手前からはずしていくだけ、という作業でセットチェンジ時間の短縮を図っていた様子。後半に登場するバンドほど大きな垂れ幕のようで、グローリーハンマーと思しきものまで両端に見える。
約20分の準備を終えて、2組目はNOVERIAというイタリアの4人組プログレバンド。10年ほどの経歴で、アルバムは4枚発表されているようだ。プログレということもあり1組目と異なり1曲当たりが長く、記憶では4曲のみの演奏だったと思う。見た目、メタルらしく長髪で、しかも髭も長く、似たような外見のメンバーが前列に揃っていた。1組目よりはやや客の入りが増えた印象。正直、個人的にはあまり好みの音楽ではなかったので、印象は薄い。
3組目はDARKTRIBEというフランスの4人組パワーメタルバンド。結成は2004年ということだが、アルバムは3枚しか発表されていない様子。こちらは1組目同様短髪のシンガーではあったが、1組目のシンガーが落ち着いた雰囲気で歌っていたのとは対照的に、ステージ上を元気に動き回っていた印象。ジャンル的には好みで、なかなか楽しめた。珍しい左利きギタリストはサラサラの黒髪ロングヘアーで、なかなかカッコよかった。二の腕は太かった。
4組目で特に観たかった一つのFINAL STRIKEが登場。昨年デビューの5人組メロスピバンド。経歴では1〜3組目のバンドより短いが、何と言ってもフロントマンが元TWILIGHT FORCE〜元NORTHTALEのクリスチャン・エリクソンだからこその順番だろう。過去のこのフェスでも来日経験があり、期待の大きさが分かる。また、ここにきて初めてキーボードがセッティングされた。しかし、準備万端、暗転してメンバーがステージ上に揃い、音響が入りスタート…というタイミングでなかなか音が出ず、妙な間が数十秒から1分ほどあったのがちょっと可哀想だった。客入りはここにきてかなり増え、フロアがほとんど埋まったように見えた(隙間があるので超満員ではないのだろうが…)。個人的にもアルバムを全曲聴いてきて予習してきただけあって、とても楽しめた。曲も良く、クリスチャン・エリクソンのパフォーマンスも良かった。しきりに感謝の言葉を言っていたのも印象的だった。経歴から仕方ないとは言え、非常に盛り上がっていたこともあり、ここから持ち時間長めでも良かったのでは。
5組目から持ち時間が長くなるのは、タイムテーブルで分かっていたが、ここに来て若干の遅れが発生。4組目まではほぼきっちりセットチェンジを含め約50分(公演30分)で次のバンドがスタートしていたが、約10分程度押していた様子。ここでベテランのHIBRIAが登場。ブラジルの5人組パワーメタルバンドで、デビュー時から注目され人気を集め、自分自身も衝撃を受けた一人。過去には単独来日公演も果たしており、自分自身も2009年のLOUD PARK(幕張メッセ)で観ていた。あのまま活動を継続し、当時の人気から考えるとヘッドライナーでもいいくらいだが、2017年にシンガーのユーリ・サンソン含めオリジナルメンバーがほぼ全員脱退し、一人ギタリストがバンドを継続した形になった。現在のシンガーは、見た目メタルというよりラッパーのようにも見えてしまうが、ハイトーン系の歌声を披露していた。ただ残念だったのは、歌声が非常に小さく聴こえた点。マイクトラブルなのか、歌い方の問題なのか、とても聴き取りづらかった(実はこれは次のグローリーハンマーでも序盤続いたので、機材トラブルだった可能性もある)。ドラマーは若い美形のイケメンで、女性に見えるくらい綺麗に見えた。選曲は1曲のみ最近の曲だったが、1stアルバムから4曲、2ndアルバムから1曲と初期の楽曲がほとんどで、これが非常にありがたかった。公演約45分で、客の入りはさらに増えた印象。中にはメタルとは縁遠いように見える女性客の姿もあった。さらにいうと、開演前から別日に出演していたDERDIANのギタリストとキーボーディストが会場で観ていたようで、VIP席にいたファンの方から写真撮影をお願いされ快く対応していた。さらに公演途中には一つ前にステージにいたファイナルストライクのドラマーとギタリストが観に来ていた。フェスならではの光景で、ヒブリアの人気、期待の大きさを感じた。
HIBRIA SET LIST
- Steel Lord On Wheels
- Millenium Quest
- Kingdom To Share
- Defying The Rules
- Shine
- Tiger Punch
6組目に登場するのが個人的に一番楽しみだったスコットランドの5人組メロパワバンドGLORYHAMMER。結論からいうと、最も盛り上がったのはここだった。内容も素晴らしかった。前述したが、序盤ややボーカルの音量が小さく感じたが、マイクを交換したのか不明だが解消したようだった。ネット上の動画を予習していたが、公演によってはキーボード奏者を含めた布陣のときもあるが、今回はキーボードは無く、その音響はSEで、ステージにはギタリスト2人の5人組。その点はやや残念ではあった。しかし、最新作から加入したソゾス・マイケルのルックスの良さなのか、若い女性ファンも拳を振り上げて盛り上がっていたように、またスピードナンバーが多いこともあり、終始盛り上がっていた。彼らのTシャツを着用した観客が最も多かったように見え、彼らを楽しみに観に来たファンが多かったのだろう。予習が功を奏して、ほぼ全ての曲が分かったのも個人的には嬉しかった。一貫した世界観を表現しており、途中ハンマーをもった全身緑色に塗った太ったゴブリンが登場したり、エンディングで王冠をかぶったメンバーに他のメンバーがひれ伏すような演出も非常に面白かった。英語のMCなので完全に聞き取れたわけではないが、最後の曲を紹介するときに、大抵はラストソングやラストナンバーと言うところを「ラストバトル」と言っていたところも一貫した世界観を感じた。サックスの演奏はSEでステージで演奏されなかったが、ビニール製の空気の入ったテナーサックスで演奏している風の演出も笑ってしまった。持ち時間はヒブリアとほぼ同じかやや長く約50分だったが、1曲当たりがコンパクトでインストを除くと(記憶が確かなら)9曲演奏していた。最新作から多めで、他はMVやリリックビデオでも公開されている代表曲・人気曲が選曲されていた。期待通り、期待以上に素晴らしい内容で、次は是非ヘッドライナーでの来日公演を観てみたくなった。単独での公演でもいけるくらいの実力はあるし、彼らを知るメタルファンが増えれば自然と集客も増えるはずだ。因みに次の日はヘッドライナーとしての公演が予定されていたので、非常に観たかったが、予定外での出費がとんでもないことになるので泣く泣く断念した。
GLORYHAMMER SET LIST
- Incoming Transmission
- Holy Flaming Hammer Of Unholy Cosmic Frost
- Gloryhammer
- Fly Away
- Angus McFife
- Wasteland Warrior Hoots Patrol
- Keeper Of The Celestial Flame Of Abernethy
- Universe On Fire
- Hootsforce
- The Unicorn Invasion Of Dundee
最後に登場するのが27年振りの来日公演となるオランダの5人組プログレバンドELEGY。経歴から言えば、今回のラインアップから考えて自然だとは思うが、今回はやや残念な雰囲気となってしまった。演奏・パフォーマンスが悪かったわけではないが、多くの観客の目当てが、グローリーハンマー、正確にいうとそこまでに登場したバンドだったようだ。6組目のグローリーハンマーが終演すると、続々と会場を後にする観客達。勿論、セットチェンジの間の休憩だった人もいたが、その大半が戻ってくることはなかった。さらに言うと、1曲終わるたびに会場を去る人も。日曜の夜で、若干予定より押していたこともあったとは思うが、非常に寂しい光景だった。残念さを感じる要素がもう一つあり、垂れ幕の小ささ。グローリーハンマーまで順調にサイズアップしていたが、最後のエレジーが小さいこと。それだけ最近の公演の規模が小さかったのか、そもそも公演機会が少ないとも言えそうだ。何と言っても日本には27年振り。それだけ貴重な機会に立ち会えたことを喜ぶべきだろう。ギターをやっていた友人は、ヘンク・ヴァン・ダー・ラーズが大好きで、残念ながら今回は観に来ることができず非常に残念がっていた。個人的には会場の音響の問題かドラムの響きが胸(肺)の辺りに響きすぎて、やや苦しかった。またプログレで複雑なリズムを刻むため、その影響が大きかったかもしれない。余談だが、ステージ上でずっと触れられなかった左奥のドラムセットはメインのエレジー用だった。ヘッドライナーということもあり、アンコール有りの約1時間20分の公演時間だった。名盤「State Of Mind」だけは聴き込んできたが、それ以外のアルバムからも数多く選曲されたので、知らない曲が多く、体力的にもフェススタートからずっと聴いていたこともあり(約7時間…)正直疲れてしまった。ただ、間違いなく内容は素晴らしかったと思う。
初参加のフェスだったが、非常に楽しかった。運良く(?)目当てのバンドが揃った日があったのもありがたかった。無ければどれかを切り捨てるしかなく、もしかすると他の日であれば、別のバンドのファンになることもあったかもしれないが、こればかりは運やタイミングもあるだろう。きっかけはエレジーファンの友人からの情報だったが、ファイナルストライクや、何と言ってもグローリーハンマーを知ることができたのは一番の収穫で、ライブを観ることで完全にファンになってしまった。グローリーハンマーに限らず、是非またこのようなパワーメタル系のバンドが揃うフェスは開催してほしいし、観に来たいと感じた。チケットの売れ行きは良くなかったようだが、これに懲りずに是非継続してほしい。SNSを観ていると過去に開催したSUOMI FEST(フィンランドフェス)もラインアップ次第だが、開催されれば来たいので、メロディ系のファン向けのライブを積極的に開催してほしいと思う。