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ROUGH SILK(ラフ・シルク)
ドイツ出身の5人組。歌い方が似ていることからSAVATAGEと比較されるが、音楽性は少し異なる。欧州では人気がある一方で、日本ではこの類はイマイチ人気が出ていない。日本盤は軒並み廃盤で、普通に購入するのは難しい。欧州ではこつこつと作品をリリースしている。
ROOTS OF HATE (ルーツ・オブ・ヘイト) (1st/1993)

日本デビューアルバム。荘厳なムードの緊張感ある曲はSAVATAGEを彷彿させるが、ポップな曲や、サビのコーラスが耳に残る曲など、SAVATAGEのようなプログレ要素は少ない。3〜5分程度の曲が並んでいて聴きやすく、バリエーション豊富で、メリハリも効いている。聴けば聴くほど味のある内容で、聴き込むと良さが分かってくるタイプの作品。そして、後になって気付いたのだが、タイトルをサビで歌っている曲が多く、タイトルから曲を思い出しやすい。90年代のJポップ・ロックのようだ。
1-The Grapes Of Wrath (怒りの葡萄)
30秒と短い曲はアルバムのイントロダクションとも言える。ピアノが荘厳なムードと、重苦しい空気を醸し出している。邦題はこの1曲だけについてる。
2-Roots Of Hate (ルーツ・オブ・ヘイト)
スロー〜ミドルテンポのヘヴィな曲。オルガンが効果的に使われている。壮大な雰囲気も感じる。
3-Eyes Of A Stranger (アイズ・オブ・ア・ストレンジャー)
ギターリフが特徴のスピード感ある1曲。そのギタープレイ自体がカッコ良く、サビはフックがあり聴きやすい。終始リズミカルでノリやすい、気持ちのいい疾走感で突き抜ける。
4-Calls To The World (コールズ・トゥ・ザ・ワールド)
ミドルテンポで、サビのコーラスがキャッチーなポップチューン。明るい雰囲気すら感じる。
5-Candle In The Rain (キャンドル・イン・ザ・レイン)
スローバラード。哀愁漂うギターが良い。意外だが、かすれたような歌声が情感豊かに聞こえ、良い効果を出している。歌詞もなかなか良い。
6-Cemetary Dawn (セメタリー・ドーン)
スローテンポのヘヴィな曲。少し不気味な雰囲気の女性のコーラスが印象的。
7-In The Deep Of The Night (イン・ザ・ディープ・オブ・ザ・ナイト)
アップテンポのロックナンバー。ギターリフが印象に残る。オルガンのようなキーボードサウンドも良い味を出している。
8-Sentimetal Trust (センチメンタル・トラスト)
スローテンポなヘヴィチューン。オルガンが良いアクセント。サビは意外と耳に残る。
9-Wasteland Serenader (ウエイストランド・セレネイダー)
ミドルテンポでメロディが非常に良く、高揚感を感じるサビはフックがあり、印象に残る。何度か聴いているうちに、やけにクセになる。個人的にかなりお気に入りの1曲で、一時期毎日のように聴いていた。
10-Fire (ファイア)
叙情的なスローバラード。アコースティックギターが良い雰囲気を出している。歌声がまた曲にマッチしており、哀愁漂うサビは、こみあげてくるものがある。自分たちのことなのか、歌詞の内容も興味深い。
11-Ups And Downs (アップ・アンド・ダウン)
ミドルテンポで明るく高揚感がある1曲。サビのメロディはキャッチーで、耳に残りやすい。
12-When Thunder Roars (ホエン・サンダー・ロアーズ)
イントロは通信記録のようなSEで始まる。アルバムの中で最もスピード感のあるハードロックチューン。アグレッシヴであるが、キーボードも効果的に使用されており、ソロがまたカッコ良い。
13-Forever (フォーエヴァー)
バラード調の短い曲。伴奏はピアノのみ。
14-Why (ホワイ)
ピアノで始まるスローバラード。訴えかける歌詞も良い。そしてバラードを歌うのが上手い。
WALLS OF NEVER (ウォールズ・オブ・ネヴァー) (2nd/1994)

彼らの代表作とされるセカンドアルバム。前作に比べバリエーションの豊かさでは劣るが、それでもピアノメインのスローバラードやスピードナンバーなど多彩な曲が収録されており、高水準の作品に仕上がっている。全体的にヘヴィなサウンドがより前面に出ている印象を受けるが、これだけヘヴィでありながら、メロディがしっかり練られているのが素晴らしい。随所でピアノが入るのは彼らのこだわりなのか。個人的には嬉しい。
1-Walls Of Never (ウォールズ・オブ・ネヴァー)
スロー〜ミドルテンポのヘヴィなナンバー。タイトルトラック且つオープニングトラックでもあり、アルバム全体の空気感を表していると言える。タイトルトラック且つ・・・ということを考えても少々物足りなさを感じる。
2-H8 What U Want (ヘイト・ホワット・ユー・ウォント)
初めは読みにくいと感じるタイトルだが、今や使い古されている感のある「U→You」と同様に「H8→Hate」と読ませるようだ。曲はスローで重い印象のメタルナンバー。後半にテクニカルなプレイが聴けるのは聴きどころの一つか。
3-Somebody's Out There (サムバディーズ・アウト・ゼア)
クイーンのような、と形容されるのはピアノやコーラスだけでなく、「Somebody...」というフレーズも大きな理由の一つと考えられる。「...To Love」と来るのではないかと期待してしまう。基本的にはスローテンポのロックナンバー。サウンドはやはりヘヴィだが、曲は悪くない。
4-Toxical Roses (トキシカル・ローゼズ)
スピード感あるメタルチューン。ここでこういう曲を挟んでくるのは効果的で、バランスが良い。数少ない疾走曲。イントロのドラムから始まる流れはなかなかカッコ良い。さり気ないピアノがクール。
5-One More For The Ride (ワン・モア・フォー・ザ・ライド)
ピアノ伴奏にのせて歌う約1分の短い曲。
6-Gloria In Destiny (グロリア・イン・デスティニー)
ヘヴィなギターサウンドが前面に出たミドル〜アップテンポのナンバー。サビの歌メロはなかなか良い。
7-Never Loose Again (ネヴァー・ルーズ・アゲイン)
ピアノがメインのスローバラード。ヘヴィなアルバムながらこういう曲もあるというのは大きな強み。曲が素晴らしい。オーケストレーションも取り入れており、スケールの大きさも感じる。
8-Missing You (ミッシング・ユー)
サウンドにエフェクトをかけ、怪しげな雰囲気で始まるミドルテンポのヘヴィロックチューン。
9-Lust Is A Killer (ラスト・イズ・ア・キラー)
正統派のスピードメタルナンバー。シンプルながらカッコ良い。スピードナンバーが少ないからこそ際立つ。タイトルを歌うサビのコーラスがまた良い。
10-Never Say Never (ネヴァー・セイ・ネヴァー)
スロー〜ミドルテンポのヘヴィなナンバー。とにかくヘヴィなギターサウンドが前面に出ている。
11-Don't Leave Me Now (ドント・リーヴ・ミー・ナウ)
スローテンポのロックナンバー。サビの前からのメロディは悪くない。もっと全体的に歌メロに磨きがかかると印象が変わりそう。
12-The Clown (ザ・クラウン)
伴奏はピアノのみでジャズっぽい作り。明るい雰囲気。ジャケットには3分2秒という時間が載っているのだが、CDトラックでは10分を超える時間になっている。この曲自体はほぼ記載通り3分弱で終わり、その後しばらく無音が続き、しばらくしてからシークレットトラックが収録されている。そちらのほうはミドルテンポのヘヴィなロックナンバー。