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REINXEED(レインエクシード) / MAJESTICA(マジェスティカ)

トミー・レインエクシード・ヨハンソンのソロプロジェクト的バンド。様々な楽器を演奏出来るトミー・ヨハンソンが、作詞・作曲からギター、キーボード、そしてヴォーカルまで担当している。そのためバンドメンバーは流動的でアルバムごとにかなり異なる。ビデオクリップを見ると(…でかい)、歌う部分では歌うことに専念しているようだが、それ以外ではテクニカルなギタープレイを見せている。彼以外にバンドにはギタリストがいるので、歌の部分では彼らがしっかりとバックを固めているようだ。ただ、専任のキーボード奏者はいないので、ライヴでは音源を流していることが多いようだ。テクニカルなギタープレイをしつつ、しかもヴォーカルまで担当すると聞くと、CHILDREN OF BODOMのアレキシ・ライホを想像するが、彼との大きな違いは歌唱力。アレキシはグロウル(ソフトなほうではあるが…)でそこまで歌唱力を求められるサウンドではないので、さほど問題がないとは言え、上手いとは言えないだろう。しかし彼は間違いなく上手い。あの体格の良さからくる安定感なのか、また柔らかな印象も受けるので、ハイトーンも非常に聴きやすい。ジャンルとしてはメロディックスピードメタルと言えるが、シンフォニックというか、ネオクラシカルな要素も強い。トミー・ヨハンソンがギタリストに専念しているGOLDEN RESURRECTIONはよりネオクラシカル色が強いので、彼自身そういうのが好きなのだろう。個人的にはたまらない音世界だ。デビュー以来毎年スタジオアルバムをリリースするというワーカホリック振り(しかし、2013年のアルバム発売後は途切れている)。ただし、作品の質は高いレベルを維持している。出し惜しみせず、良いものが作れるときにとにかく作るべきだと思うので、いいと思う。2016年にSABATONに加入(2024年に脱退)し、やっと表立った活動が再開されたものの、自らのバンドの活動はなかなか聞かれなかったが、2018年頃からやっとライヴ活動を再開したようで、そして2019年に新たにMAJESTICAとバンド名を一新して新作を発売した(メンバーや音楽性も共通しているようなので、REINXEEDから改名という扱いにしている)。コロナ禍直前の2020年1月には来日公演も果たしている(ライブリポート有)。

Mld ★★☆
Spd ★★★
Key ★☆☆
Cla ★☆☆
Bri ★★☆
Voc ★★☆

ライブレポート

アルバムリスト

majestic
1912
welcome to the theater
a new world
above the sky
a christmas carol

関連アーティスト

golden resurrection

MAJESTIC (マジェスティック) (3rd/2010)

MAJESTICジャケット画像

通算3枚目となるアルバム。順序が前後してしまうが(聴いた順序が逆なのでご了承ください)、この後にリリースされた4th「1912」と比較するとスローチューンやバラードなど非常にバラエティ豊かな楽曲が並ぶ。クレジットを参考にゲストヴォーカル・コーラスをレビューにも載せているが、レコーディングのバンドメンバーでもないのではっきりしないのだが、一部を除いてどの曲の声も似ており(同じ人ってことはないと思うが)、共通して高めの声質。こもっているというか、音量のバランスというか、音質がイマイチなのは非常にもったいない。

1-Deep Under Sea (ディープ・アンダー・シー)

壮大なイントロで幕を開けるスピードナンバー。サビでは一旦テンポを下げて落ち着いた印象になる。変化が多く、テクニカル。曲全体を通しキーボードが壮大な雰囲気を醸し出している。 Mld.Spd.Key.Cla.

2-Invincible (インヴィンシブル)

イントロからテクニカルな速弾きが聴ける疾走曲。終わり方が非常にカッコ良い。 Mld.Spd.

3-Never Lie (ネヴァー・ライ)

キーボードサウンドが前面に出たアップテンポのナンバー。TWILIGHTNINGのJester Realmのイントロを彷彿とさせる。個人的に非常に好きなサウンド・展開。サビのコーラスも爽快で耳に残る。曲も素晴らしい。 Mld.Key.

4-Once Upon A Time (ワンス・アポン・ア・タイム)

奥行きのある壮大な雰囲気のあるミドルテンポナンバー。キャリー・サンドベリ(G)がコーラス、及び一部でリードヴォーカルを担当している。 Mld.Key.Cla.

5-Melody Of Life (メロディ・オブ・ライフ)

高揚感のあるアップテンポチューン。明るい雰囲気を感じる一曲。変化が多く、スピーディなパートもある。この曲ではViggo Svanbergという人がゲストヴォーカルで参加しており、サビにつながる部分でそこそこの長さのパートを歌っているのがそうだと思われる。 Mld.Key.Bri.

6-Atlantis (アトランティス)

4thアルバム「1912」の曲かと思うような雰囲気のスピードチューン。タイトルからも分かるが、壮大なスケール感のあるドラマティックなサウンドが印象的。 Mld.Spd.Cla.

7-Second Chance (セカンド・チャンス)

ピアノが印象的な感動的なスローナンバー。曲がまた素晴らしい。泣きのギターが涙を誘う。いや、ほんと泣きそうになる。メタルチューンではないが、個人的にはこの曲がこの作品で1番。 Mld.Key.Ter.

8-My Paradise (マイ・パラダイス)

爽快なスピードメタルナンバー。イントロのギターがカッコ良い。Mark E Gunnardoという人物がゲストヴォーカルで参加している。この声質は好みが分かれそう。まずまず上手いが・・・。 Mld.Spd.

9-Neverland (ネヴァーランド)

さり気ないキーボードが良い味を出している疾走曲。間奏部分では荘厳な雰囲気も。アルバムでギターを担当しているマット・マシーンが一部でヴォーカルを担当している。おそらくソロ前のダーティな歌声がそうだと思われる Mld.Spd.Key.Cla.

10-Majestic (マジェスティック)

スロー〜ミドルテンポのナンバー。高揚感のあるサビのコーラスが特徴。スピード変化があり、後半には非常に速い部分も。7分を超える長尺だが、その長さは感じない。 Mld.Spd.Key.

11-Lightning Strikes Again (ライトニング・ストライクス・アゲイン)

荘厳なイントロで始まるネオクラシカル色の強いスピードナンバー。スケールの大きさを感じるオーケストレーションが個人的にはたまらない。 Mld.Spd.Cla.

12-Sword In Stone (ソード・イン・ストーン)

ファンタジックなタイトル通り、壮大なスケール感を感じるイントロで始まるスピードメタルチューン。 Mld.Spd.Cla.

13-Forever Carry On (フォーエヴァー・キャリー・オン)

日本盤ボーナストラック。4th「1912」を聴いていても分かるが、このタイトルのフレーズが随所で聞けるのはトミーのお気に入りだからか。テクニカルなギタープレイで幕を開ける疾走ナンバー。サビのコーラスはキャッチーで耳に残りやすい。ジャーマンメタルのような明るさを感じる。 Mld.Spd.Bri.

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1912 (4th/2011)

1912ジャケット画像

メロスピ好きは必聴の4枚目のスタジオアルバム。とにかくスピードチューンのオンパレード。曲ごとのレビューが難しいほどに…。ただし、速い曲ばかりだが、それぞれ非常に高い完成度を誇り、何度も聴きたくなる。速い曲が好きな人にはたまらない作品。悪く言えば、メリハリが無く、曲の一部を聴いて何という曲か分かるかというと難しい。それでも、ここまで上質で爽快な疾走曲を次々とたたみ掛けられると、とにかく気持ちが良い。アルバムは「タイタニック」を題材としており、所々でその雰囲気を感じるサウンドが聴けるが、決して重苦しさは無い。音質は大きく向上しており、問題なし。キャリー・サンドベリ(G)のみが前作から引き続き参加している。トミー・ヨハンソンを含めるとトリプルギターの編成となっている。

1-1912

荘厳なイントロダクションで始まる。ネオクラシカル系が好きな人にはたまらない。スピードは全体的にはアップテンポという程度でそこまで速くはないが、変化も多く、スピード感のある部分もある。曲が良く、よく耳に残る。 Mld.Spd.Key.Cla.

2-The Final Hour (ザ・ファイナル・アワー)

スピード感溢れるナンバー。イントロ・サビのコーラスが心地良い。こちらもメロディラインが素晴らしく、フックがあり、印象に残る。 Mld.Spd.

3-Terror Has Begun (テラー・ハズ・ビガン)

バスドラが響く疾走曲。割合は少ないがキーボードが欠かせない1曲。ソロも良い。イントロは前曲に似た流れ。MVも制作された。 Spd.Key.

4-Spirit Lives On (スピリット・リヴズ・オン)

爽快なスピードチューン。フックのあるサビではトミー・ヨハンソンのお気に入り「Carry On」のフレーズが響く。リーダートラックとしてもいいくらいの秀曲。7分という長さを感じさせないほどの内容の濃さ。 Mld.Spd.

5-Through The Fire (スルー・ザ・ファイア)

サビの歌詞がタイトルということもあり、曲が思い出しやすいファストナンバー。イントロ後のキーボードはなんとも言えない不思議なハーモニー。 Mld.Spd.Key.

6-The Fall Of Man (ザ・フォール・オブ・マン)

荘厳なイントロで幕を開けるスピードチューン。クレジットによるとKim Arvidssonという人物がバッキングヴォーカルで参加している。終盤の高めの声のコーラスか。 Mld.Spd.Key.Cla.

7-The Voyage (ザ・ヴォヤージ)

アルバムのテーマにも通じるタイトル通りのSEが流れて始まる。静かな出だしだが、これもやはり速くなる。サビのコーラスが耳に残る。全体を通じてキーボードのサウンドが欠かせない。 Mld.Spd.Key.Cla.

8-We Must Go Faster (ウィ・マスト・ゴー・ファスター)

ビデオクリップが制作されたリーダートラック。タイトルから想像できるが、もちろんスピード感のあるナンバー。クレジットによると6曲目にコーラスで参加したKim Arvidssonがギターで一部参加しているとのことだが、映像からは確認できない。 Mld.Spd.Key.

9-Challenge The Storm (チャレンジ・ザ・ストーム)

イントロからキーボードの活躍度の高いスピードメタルチューン。サビはタイトルフレーズのコーラス。キャリー・サンドベリ(G)が一部でリードヴォーカルをとっている。高めの声質は好みが分かれそう。 Mld.Spd.Key.

10-Reach For The Sky (リーチ・フォー・ザ・スカイ)

キーボードも随所で印象的なサウンドを聴かせる疾走感溢れるナンバー。サビのメロディも相変わらず良い。変化が多く、それも聴いていて楽しい。 Mld.Spd.Key.

11-Farewell (フェアウェル)

奥行きのあるサウンドの爽快なメロスピチューン。キーボードの存在感も大きい。タイトルからも推測できるが、次の曲が短いインストなので、アルバムの締めのナンバーと言っていい。 Mld.Spd.Key.

12-Lost At Sea (ロスト・アット・シー)

短いインストゥルメンタル。コンセプト作であるアルバム本編のエンディング。 Mld.Cla.

13-Reinxeed Alliance (レインエクシード・アライアンス)

日本盤ボーナストラック。実にカッコ良いスピードナンバー。アルバムの中で1,2を争うほど(個人的にはNo.1)。イントロからキーボード全開で、ギターとの絡みも最高。メロディも非常に良い。タイトルにバンド名を入れるあたりに自信が窺える。 Mld.Spd.Key.

14-Aces High (撃墜王の孤独)

日本盤ボーナストラック。言わずと知れたIRON MAIDENの代表曲のカヴァー。スピード感のあるメタルが好きなら「IRON MAIDENと言えば!」という曲で、過去にもCHILDREN OF BODOM等もカヴァーしている。キーボードを入れているが、劇的なアレンジはしておらず、オリジナルの良さをそのまま活かしている。余談だが、アルバムの歌詞カードに歌詞が載っている。カヴァー曲は大概割愛されるため珍しい。GOLDEN RESURRECTIONのアルバムも同様だが、発売元の意向なのか。実は結構嬉しい。 Mld.Spd.

15-Pray For Japan (プレイ・フォー・ジャパン)

日本盤ボーナストラック。東日本大震災を受けての復興支援チャリティソング。GOLDEN RESURRECTIONのクリスチャン・リレグレンとのツインヴォーカルで、MVも制作されており、涙を誘うスローナンバー。日本人としては気にかけてもらい嬉しい気持ちだが、一部の輩からは(理由はよくわからないが)リリース当初なぜか批判を多く受けたらしい。因みに、同時期に発売されたGOLDEN RESURRECTIONの「MAN WITH A MISSION」にも同じヴァージョンがボーナストラックとして収録されている。(余談だが、私自身この2枚を全く同じタイミングで、何も知らずに買ったので驚いた…) Mld.Ter.

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WELCOME TO THE THEATER (ウェルカム・トゥ・ザ・シアター) (5th/2012)

WELCOME TO THE THEATERジャケット画像

前作に引き続きスピードナンバー満載の通算5枚目のスタジオアルバム。今作はアルバムタイトル・ジャケットからも分かるが、映画のサウンドトラックにありそうな壮大な雰囲気の音作りが特徴。随所でオーケストレーションを上手く取り入れている。 恒例のカヴァーソングが2曲。どちらも日本向けと言える選曲で嬉しい。メンバーはまた変わっているが、キャリー・サンドベリ(G)はまた残っており、一部でリードヴォーカルも担当。また、クレジットを見るとゲストが多数参加しているが、有名な所では師匠的存在(?)であるクリスチャン・リレグレンくらいか。

1-Welcome(Intro) (ウェルカム)

アルバム全体のイントロダクション。ファンファーレというのか、オープニングに相応しい、期待高まるインストゥルメンタル。ただ、2曲目との繋がりはなし。 Cla.Bri.

2-Life Will Find A Way (ライフ・ウィル・ファインド・ア・ウェイ)

期待通りのスピードナンバー。イントロからキーボードが前面に出ており、ギターサウンドはレインエクシードサウンドと言っても過言ではないほどの「らしさ」がある。明るい雰囲気で、変化も多くテクニカル。 Mld.Spd.Key.Bri.

3-Follow Me (フォロー・ミー)

キラキラのキーボードがイントロから炸裂するアップテンポチューン。テクニカルなギターソロが◎。シアトリカルなキーボードサウンドはアルバム全体のイメージとぴったり。こちらも明るいメタルナンバー。 Mld.Spd.Key.Cla.Bri.

4-Save Us (セイヴ・アス)

荘厳なイントロで幕を開ける疾走曲。サビの入りの女声ヴォーカルはFrida Vibergとクレジットされている。曲後半に転調するところもなかなか良い。タイトルが同じだが、HELLOWEENのカヴァーではない。 Mld.Key.Cla.

5-Stranger Tides (ストレンジャー・タイズ)

ネオクラシカルな要素の強いアップテンポナンバー。サビ終盤のギターがカッコ良い。テクニカルなギターソロはもちろん、間奏がまた良い。終盤の展開も聴きどころ。 Mld.Spd.Key.Cla.

6-Somewhere In Time (サムホエア・イン・タイム)

イントロからの流れが秀逸。高揚感があり、明るさを感じるアップテンポ〜スピードチューン。ゲストで一部リードヴォーカルを担当いるのはPelleKというノルウェーのソロアーティスト。若干クセがあり、イタリアのメタルバンドHIGHLORDの2代目ヴォーカリストの声質に近い。 Mld.Spd.Key.Cla.Bri.

7-Freedom (フリーダム)

スケール感を感じるイントロから、スピーディなギターリフへとスピードアップするナンバー。8分超の大作だが、変化が多く、様々な表情を見せる展開は長さを感じさせない。管楽器の静かな間奏からテクニカルなギターソロという流れは必聴。Calle Sundberg(G)とRonny Hemlinという二人が一部リードヴォーカルを担当。前者はお馴染みのクセのある歌声、後者はゲストで初めて聴いたがなかなかカッコ良い。声質は元GAMMA RAY〜現PRIMAL FEARのラルフ・シーパースのような鋼鉄系(?)。 Mld.Spd.Key.Cla.

8-No Fate (ノー・フェイト)

序盤ミドルテンポだが、終盤にスピードアップするナンバー。イントロはヘヴィだが、荘厳な雰囲気へと展開する。キーボードは随所で良い味を出している。改めていうこともないが、ギターソロは相変わらずカッコ良い。スピードナンバーが続いているため、メリハリをつけるためにもこういう曲があってもいい。曲も悪くない。 Key.Cla.

9-Temple Of The Crystal Skulls (テンプル・オブ・ザ・クリスタル・スカルズ)

奥行きのあるサウンドのハイスピードチューン。サビでは転調し、スピード変化があるが、全体を通して疾走感がある。高揚感があり明るい印象。 Mld.Spd.Key.Cla.

10-Welcome To The Theater (ウェルカム・トゥ・ザ・シアター)

スピード感溢れるアルバムタイトルトラック。ビヨビヨというキーボードサウンドが明るい印象を感じる。2コーラス目ではピアノに変わり、これもまた陽気な雰囲気を作り出している。前作でいう「We Must Go Faster」系のスピードメタルナンバーでアルバムに1曲は必ず入れるようにしているようだ。メロスピファンは必聴。変化があるが、4分弱とコンパクトな仕上がり。歌メロが素晴らしい。 Mld.Spd.Key.Bri.

11-Hiroshima (ヒロシマ)

日本盤ボーナストラック。ゲイリー・ムーアのカヴァー。自分自身、オリジナルは未聴だったが、非常にカッコ良いアップテンポナンバー。リフが印象的。サビのコーラスも非常によく耳に残る。タイトルからも想像できるが、あの出来事を痛烈に歌っており、歌詞はメッセージ性が強い。オリジナルから大きなアレンジはない。ゲストヴォーカルでGOLDEN RESURRECTIONのクリスチャン・リレグレンが参加しているが、リードヴォーカルではなくコーラスのようだ。 Spd.

12-Halloween (ハロウィン)

日本盤ボーナストラック。HELLOWEENのカヴァー。ミステリアスなイントロで始まる10分を超える大作。オリジナルは13分近くあるが、カヴァーでは10分をわずかに超える程度と多少コンパクトに。オリジナルとの違いはキーボードを効果的に織り交ぜている点か。しかしこれだけの大作を選曲するというのは珍しい。因みに前の曲もそうだが、前作同様歌詞カードにオリジナルの歌詞も載せている点が嬉しい。ただ、一部間違っているかも。 Mld.Spd.Key.Cla.

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A NEW WORLD (ア・ニュー・ワールド) (6th/2013)

A NEW WORLDジャケット画像

通算6枚目のスタジオアルバム。前2作と比べてスピードナンバーは減り、そういうものだけを求めていた人には不満があるかもしれない。しかし、アルバム全体の完成度は最高傑作といっても過言ではない。キーボードの比重が大きくなっていることは個人的に大歓迎だが、何よりメロディラインが良く、ミドルテンポのナンバーでもキラーチューンとなる曲がある。スピードナンバーを怒涛のごとく連続するよりも、アルバム全体に流れが出て1曲1曲の印象度が強く、タイトルを聞いてどういう曲か思い出せるものが多いというのも嬉しい。だからと言って速い曲がないわけではなく、スピードメタルファン必聴のナンバーもしっかりと配置されている。正直、最初に1回聴いたときは、全体的に若干弱いように感じたが、2回3回と聴き込んでいくうちに魅力を次々と発見することが出来る、そういう作品だと感じた。因みに、過去2作にあったカヴァーソングは今作にはなく、ボーナストラックは初期2作品に収録されていた曲のニューヴァージョン。カヴァーがないのは寂しい気もするが、そういう話題性はなくともオリジナルだけで勝負できるだけの自信というものを感じる。またメンバーも入れ替わっており、前作からの残ったのはアッフェ・フライドハーゲン(Dr)のみ。ギターにアレックス・オリツ、ベースにクリス・デイヴィッドを迎えている。

1-Distant Horizon (ディスタント・ホライズン)

ミドル〜アップテンポのナンバー。イントロからキーボードの活躍度が大きく、キラキラとしたサウンドは爽やかな印象を与える。アルバム全体を象徴するオープニングナンバーと言えそうだ。変化が多く、相変わらずテクニカル。 Mld.Spd.Key.Bri.

2-Into The Darkness (イントゥ・ザ・ダークネス)

アップテンポのメタルナンバー。メロディが非常に良く、耳に残りやすい。間奏・ソロの流れがまた良い。 Mld.Spd.

3-The Journey Home (ザ・ジャーニー・ホーム)

明るい印象の強いミドルテンポのロックナンバー。歌詞も希望溢れる内容で、明るく高揚感のあるメロディが心地いい。サビのコーラスは特に爽快で思わず一緒に歌ってしまう。アレンジがまた良く、ベルの音色も明るい印象を強くしている。トミー本人が「ディズニー・メタル」と形容しているのも頷ける。 Mld.Key.Bri.

4-The Star (ザ・スター)

キーボードサウンドが前面に出たメロディックなナンバー。個人的にはその類の曲の大ファンなのでたまらない1曲だ。トミー・レインエクシード本人が明かしているが、この曲は80年代の曲へのトリビュートであり、メロディラインには当時のものからもインスパイアされているようだ。はっきりと誰の何と言う曲かは分からないが、知っている人のなかにはもしかすると不快に感じるものもあるかもしれない。ただ、本人もトリビュートと言っているので。歌詞からはゲイリー・ムーアの想起させる。メロディアスなHM/HRが好きなファンには必聴のキラーチューンであることは間違いない。コーラスも良く、後半の転調も良い。 Mld.Key.Bri.

5-Final Destination (ファイナル・デスティネーション)

キャッチーでコマーシャル性の高いメロディが特徴ののスピードメタルチューン。全体を通して心地良いスピード感がある。彼らにはやはり速い曲をやってほしいというファンには必聴。こういう曲もあるからこそ、スロー・ミドルテンポの曲も映える。 Mld.Spd.Key.

6-Northern Allstars (ノーザン・オールスターズ)

非常に耳によく残るメロディラインが特徴のミドルテンポのナンバー。歌メロは邦楽にありそうなくらい耳に馴染む。つい口ずさんでしまう。やけに印象に残る1曲。キラキラのキーボードもたまらない。 Mld.Key.Bri.

7-Chalice Of Time (シャリス・オブ・タイム)

歌の部分はスローだが、それ以外の部分では疾走感があり、そのスピード感はリズミカルとも言える心地良いテンポで、様々な表情を見せる変化の多いメタルナンバー。サビはフックがある。キーボードの活躍度も大きい。 Mld.Spd.Key.

8-Curse And Damnation (カース・アンド・ダムネイション)

ミドル〜アップテンポのナンバー。ピアノから始まるイントロが良い。高揚感あるメロディラインはキャッチーで、サビのコーラスも良い。ソロは速さは控えめだが、流れ・メロディ展開が◎。最初はあまり印象に残らない曲だったが、どの曲か分からない状態で聴いてからというもの、聴きどころ満載の1曲で、個人的に非常におすすめ。キーボード全開。アウトロも◎。 Mld.Key.Bri.

9-Guitar Hero (ギター・ヒーロー)

ビデオクリップが作成されたことからも分かるが、アルバムに1曲はあるメロディックスピードメタルナンバー。リーダートラックといって間違いない。メロスピファンの期待を裏切らない。速いだけではなく曲も良い。サビの「オーライッ!」はカイ・ハンセンを思い出す。ソロは長いが、楽しく聴ける。ビデオクリップは演奏している姿だけだが、ヘヴィメタルの場合はそれで充分。これがまたカッコ良い。 Mld.Spd.Key.

10-A New World (ア・ニュー・ワールド)

8分超のアルバムタイトルトラック。当然のことながら、その長さは感じない。変化が多く、速い部分もあるが、基本はスローテンポ。男声のクワイアが荘厳な雰囲気を演出している。 Mld.Key.Cla.

11-Haunted Mansion (ホーンテッド・マンション)

日本盤ボーナストラック。2ndアルバム収録曲のニューバージョン。サビはキャッチーでソロもカッコ良い。アップテンポのメタルナンバー。 Mld.Spd.

12-Eternity (エターニティ)

日本盤ボーナストラック。1stアルバム収録曲のニューバージョン。アップテンポでテクニカルなソロも聴ける。奥行きを感じるサウンドは4thアルバムにありそう。1stアルバムでこれだけの曲を作っていたとは・・・。 Mld.Spd.Cla.

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ABOVE THE SKY (アバヴ・ザ・スカイ) (1st/2019)

ABOVE THE SKYジャケット画像

改名したマジェスティカとしては初めての作品。バンド名は3rdアルバムのタイトルのトリビュートと本人は語っているようだ。メンバーはアレックス・オリズ(Gt)、クリス・デイヴィッド(Bs)が前作から継続。正式なドラマーはいないが、アルバムのレコーディングには、なんと元ハロウィン、マスタープランなどでお馴染みのウリ・カッシュが参加している。ただしライブなどへの参加は無く、ビデオクリップの撮影も不参加のようだ。作品は期待通りで、実質前作にあたる「A NEW WORLD」よりもスピードナンバーが多いのは個人的にやはり嬉しい。なお、アルバムジャケットのアートワークはSABATONのもう一人のギタリストであるクリス・ローランドが手掛けたとのことだが…凄すぎないか。

1-Above The Sky (アバヴ・ザ・スカイ)

最高のスピードメタルナンバーがオープニングトラック。MVも製作された。これがまた良い。イントロがテクニカルなベースから始まるというのがまたそそる。クレジットはされてないが、歌いだしの2フレーズほど歌っているのはカイ・ハンセンでは?HELLOWEENの代表曲「Eagle Fly Free」という歌詞も歌わせてるし(オリジナルは既にマイケル・キスクが専任ヴォーカリストになってはいたが)。ただクレジットされていない以上、そうでないなら、声真似にしては似すぎてないか。 Mld.Spd.Key.Bri.

2-Rising Tide (ライジング・タイド)

初めにリリックビデオとして公開されたリズミカルなスピードチューン。高揚感も伴い盛り上がりやすい1曲。間奏部では壮大な雰囲気を感じるサウンドになっている。 Mld.Spd.Key.Cla.Bri.

3-The Rat Pack (ザ・ラット・パック)

イントロからキーボード全開のスピードメタルナンバー。こちらも盛り上がりやすい1曲で、歌メロも良い。 Mld.Spd.Key.

4-Motley True (モトリー・トゥルー)

重めの雰囲気で始まるナンバー。8分を超える長尺。途中で変化して速くなる部分はやはり盛り上がる。タイトルはあの超有名バンドをもじっているのは言うまでもない。 Mld.Spd.Key.

5-The Way To Redemption (ザ・ウェイ・トゥ・リデンプション)

スピード感溢れるスピードメタルナンバー。このアルバムでは最速と思われる。イントロのギターから速い曲好きにはたまらない。途中のテンポ変化もカッコ良い。こちらも歌メロが良い。キーボードサウンドが奥行きを感じさせ、壮大な雰囲気を作り出している。 Mld.Spd.Key.Cla.

6-Night Call Girl (ナイト・コール・ガール)

キーボードが前面に出ているミドルテンポのポップなメタルナンバー。サビは合唱しやすいので、ライブでは盛り上がる1曲だろう。速い曲を求めるファンにはちょっと物足りないかもしれないが、こういう曲もあると作品としてはメリハリがつく。Rising Tideの次にリリックビデオとして公開された曲。 Mld.Key.

7-Future Land (フューチャー・ランド)

スピードは抑えめで始まるが、途中からテンポアップするスピードチューン。テクニカルなソロも聴きどころ。11曲目の2002バージョンと合わせて聴くとより楽しめる。 Mld.Spd.Key.

8-The Legend (ザ・レジェンド)

キーボードのメロディが印象的なミドル〜アップテンポのメタルナンバー。サビのメロディはとてもキャッチー。 Mld.Key.

9-Father Time (ファザー・タイム)

ヨハンソンの独唱から始まる明るい雰囲気のメタルナンバー。高揚感があるが、テンポはかなり速い。天国と地獄のフレーズも雰囲気に合っていて良い。 Mld.Spd.Key.Bri.

10-Alliance Forever (アライアンス・フォーエヴァー)

テンポは抑えめで始まるが7分半近い曲のなかで変化していくメタルナンバーで実質アルバム本編のエンディング曲と言っていい。ライブのエンディングとしても相応しい素晴らしい曲。キャッチーで高揚感あるサビの歌メロが素晴らしい。ギターのリフもキャッチーで良い。因みにアライアンス(同盟・提携)というフレーズは、レインエクシード時代の「1912」の日本盤ボーナストラックに収録されていたReinxeed Allianceでも使用されていた。その関連は明言していないが、繋がりがあると考えると興味深い。個人的にどちらもかなりお気に入り。 Mld.Spd.Key.Bri.

11-Future Land (2002) (フューチャー・ランド 2002)

7曲目の2002バージョン。かなり粗削りで、歌もまだまだ力強さや安定感に欠けるが、なんとこれがヨハンソン自身が15歳頃に作ったというのだから驚き。すでにこんな曲を書けていたなんて…凄すぎる。7曲目と聴き比べると面白い。演奏や歌、サウンドは洗練されて、当然そちらのほうが良いが、曲そのものはほぼ変えていない。それだけオリジナルで完成されていたと言える。 Mld.Spd.Key.

12-Spaceballs (The Spinners Cover) (スペースボールズ)

ザ・スピナーズというグループのカバーで、スターウォーズなどのパロディ満載のSFコメディ映画の主題歌。映画は未視聴で曲もオリジナルはこれをきっかけに初めて聴いたが、割とオリジナルの雰囲気を忠実に再現したタイプのカバー。メタルアレンジという感じではなく、B級っぽさがユニーク。

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A CHRISTMAS CAROL (ア・クリスマス・キャロル) (2nd/2020)

A CHRISTMAS CAROLジャケット画像

マジェスティカとしては2枚目となるアルバムで、チャールズ・ディケンズの同名の小説を題材としたコンセプト作。あちこちに聴いたことのあるクリスマスミュージックが散りばめられており(どんな曲かは是非聴いてみてほしい…というか全部を把握できていないので)、非常に楽しい気持ちになる。だからといってポップなだけの作品ではなく、しっかりメタルアルバムになっているからさすが。なお、バンドメンバーは前作から継続組に加え、今作から正式にドラマーのジョエル・コルベルクが加入している。そのコルベルクとデイヴィッドを含めヨハンソンと三人で役を分担する形で歌っている。歌詞カードを見ながら聴いても楽しいはずだ。

1-A Christmas Carol (ア・クリスマス・キャロル)

キラキラとしたサウンドが印象的なインストゥルメンタル。 Mld.Key.Cla.Bri.

2-A Christmal Story (ア・クリスマス・ストーリー)

サウンドはキラキラしていながらもしっかりスピードメタルナンバーに仕上がっている。 Mld.Spd.Key.Cla.Bri.

3-Ghost Of Marley (ゴースト・オブ・マーレイ)

ベーシストのクリス・デイヴィッドが素晴らしい歌唱を聴かせるメタルチューン。もちろんヨハンソンも歌ってはいるがデイヴィッドの存在感が大きい。交互に歌う部分が印象的。力の入ったビデオクリップも製作された。 Mld.Spd.Key.Cla.

4-Ghost Of Christmas Past (ゴースト・オブ・クリスマス・パスト)

楽しげなクリスマスらしいサウンドが聴ける、それでもやはりスピードメタルナンバー。テンポ変化もカッコ良い。ソロも良い。リリックビデオも製作された。 Mld.Spd.Key.Cla.Bri.

5-The Joy Of Christmas (ザ・ジョイ・オブ・クリスマス)

ヨハンソンのピアノと歌唱を堪能できるスローナンバー。泣けてくる。中盤で変化がある部分も盛り上がる。お馴染みのクリスマスメロディも良い。ビデオクリップも必見。作詞にデイヴィッドとコルベルクも参加。 Mld.Key.Cla.Ter.Bri.

6-Ghost Of Christmas Present (ゴースト・オブ・クリスマス・プレゼント)

楽しげなサウンドから始まるのは4曲目と同様。タイトルから4曲目の続編と考えると面白い。 Mld.Spd.Key.Cla.Bri.

7-Ghost Of Christmas To Come (ゴースト・オブ・クリスマス・トゥ・カム)

様々なSEや語りを取り入れているが、しっかりとメタルチューンになっている。変化が多い曲でもある。 Mld.Spd.Key.Cla.Bri.

8-A Christmas Has Come (ア・クリスマス・ハズ・カム)

楽しげな雰囲気のメタルナンバー。デイヴィッドも一部歌っているがなかなか良い味を出している。アウトロの静かな雰囲気もまた良い。 Mld.Spd.Key.Cla.Bri.

9-A Majestic Christmas Theme (ア・マジェスティック・クリスマス・テーマ)

作品全体を総括、振り返るようなインストゥルメンタル。ここだけはメタル要素は無い。 Mld.Key.Cla.Bri.

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