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AT VANCE(アット・ヴァンス)

ドイツ出身。ジャンルはネオクラシカル・ヘヴィメタルかメロディックスピードメタル。オーラフ・レンク(G)とオリヴァー・ハートマン(Vo)のCENTERSというプロジェクトが前身となっている。AT VANCEとしては99年にデビューしており、ABBAのカヴァーをよくすることもファンにはお馴染み。5thアルバムを前にオリヴァー・ハートマンは脱退し、イングヴェイのバンドにも在籍していたマッツ・レヴィンが加入。さらに7thアルバムからはリック・アルティに交代している。オーラフ・レンクは現在もバンドを率いており、そのことからも彼のバンドと言える。因みにオリヴァー・ハートマンはEDGUYのヴォーカリスト、トビアス・サメットのプロジェクト、AVANTASIAに参加しており、勿論歌での参加もあるが、ライブではギタリストとして帯同している模様。彼の声が好きなファン(自分も)はやや残念。なお、オリヴァー・ハートマンの歌声が好きで聴いていたので、脱退後の作品はレビュー予定無し。

Mld ★★☆
Spd ★☆☆
Key ★☆☆
Cla ★☆☆
Voc ★★☆

アルバムリスト

no escape
heart of steel
dragonchaser
only human

関連アーティスト

avantasia
edguy
heavens gate
rainbow
yngwie malmsteen

NO ESCAPE(ノー・エスケイプ) (1st/1999)

NO ESCAPEジャケット画像

デビューアルバム。とはいえ、クオリティは非常に高い。それぞれの演奏技術、歌唱力もレベルが高いので、安心して聴ける。ただ、序盤の曲のメロディの質はもう一つという印象がある。日本盤ボーナストラックが2曲ともカヴァーで、本編と合わせて12曲中4曲がカヴァーというのは賛否両論ありそうだが、多くの人が知っている曲のカヴァーなので楽しめるのではないだろうか。このアルバム発売時のメンバーはオリヴァー・ハートマン(クレジットではHardmannとある)、オーラフ・レンク、レイナルド・ケーニッヒ(B)、スプーニー(D)、ウリ・ミューラー(Key)という5人。

1-Flying High (フライング・ハイ)

出だしこそ落ち着いた入りだが、曲が始まるとテンポアップするスピードメタルナンバー。オープニングナンバーとしてはメロディが少し弱く、若干地味なイメージ。 Spd.

2-No Escape (ノー・エスケイプ)

こちらも疾走感あるメタルチューン。イントロのギターが何気にカッコいい。個人的にこういうギターは好み。テクニカルなギターソロも良い。 Spd.

3-No Speak (ノー・スピーク)

1分半少々という短いインストゥルメンタル。テクニカルなプレイが楽しめるのは勿論、ネオクラシカル調の曲もなかなか良い。しかし、似たタイトルが2曲続くというのはどうだろう…。 Mld.Spd.

4-Die In Your Arms (ダイ・イン・ユア・アームズ)

冷たいキーボードサウンドと男声のクワイアで幕を開けるスローテンポのヘヴィな曲。アルバム全体の流れを作る上では必要な曲。 Key.

5-All For One, One For All (オール・フォー・ワン、ワン・フォー・オール)

イントロはオルガンで始まる荘厳な雰囲気を持つアップテンポナンバー。チームスポーツのスローガンのようなタイトルで、メロディも明るい印象。 Mld.Spd.Key.Cla.Bri.

6-Money, Money, Money (マネー・マネー・マネー)

初期のアルバムで定番となっているABBAのカヴァー。異なるジャンルの曲をメタルアレンジすると、やはり楽しい。元の曲が良いと、より違和感なく聴ける。 Mld.

7-Four Seasons / Summer (協奏曲集「四季」より第二番ト短調”夏”)

クラシックの名曲、ヴィヴァルディ「四季」より「夏」。もちろんインスト。多くの人が知っている馴染み曲。メタルアレンジされるとやはりカッコ良い。原曲と比べて聴いてみたくなる。 Mld.Spd.

8-Lost In Your Love (ロスト・イン・ユア・ラヴ)

涙もののスローバラード。ピアノが物悲しいメロディを奏でる。オリヴァー・ハートマンのヴォーカルが素晴らしく、バラードを歌わせても超一流ということが分かる。 Mld.Key.Ter.

9-Power & Glory (パワー・アンド・グローリー)

アップテンポのリズミカルなメタルチューン。サビのメロディには高揚感があり、ジャーマンメタルのような明るさを感じる。 Mld.Spd.Bri

10-Seven Seas (セブン・シーズ)

波の音から始まるスローテンポのロックナンバー。アルバム本編の最後の曲としては、いささか地味な印象。雰囲気も重い。

11-Eye Of The Tiger (アイ・オブ・ザ・タイガー)

日本盤ボーナストラック。SURVIVORのカヴァー。映画「ロッキー」のテーマ曲として知られる。奇をてらったアレンジはしておらず、かなりオリジナルに近い。これもオリジナルがカッコ良いので、悪くなるわけはない。 Mld.

12-Shout (シャウト)

日本盤ボーナストラック。TEARS FOR FEARSのカヴァー。こちらも有名な曲。タイトルだけではピンと来なかったが、聴いたら「なるほど」と。ヘヴィなサウンドが印象に残る。

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HEART OF STEEL (ハート・オブ・スティール) (2nd/2000)

HEART OF STEELジャケット画像

2枚目のスタジオアルバム。作風は前作から変わらず、多めのカヴァー曲も健在。メンバーは多少の交代があり、前作はベーシストとなっていたライナルド・ケーニッヒがリズムギタリストに転向。ヨヒェン・シュナー(B)、ユルゲン・ルーカス(Dr)が加入し(ドラマーは交代)、6人編成となっている。

1-Prelude (プレリュード)

静かにアコースティックギターが奏でるメロディは次曲のメロディ。そのことからも分かるように次へのイントロダクション。時間も1分弱。 Mld.

2-Soldier Of Time (ソルジャー・オブ・タイム)

前曲の流れを汲んで静かに始まり、一気にテンポアップするスピードメタルナンバー。いかにもAT VANCEらしい曲。 Mld.Spd.

3-The Brave And The Strong (ザ・ブレイブ・アンド・ザ・ストロング)

オルガンとコーラスという厳かな雰囲気で幕を開ける疾走曲。キャッチーなサビで、タイトルがそのまま歌詞になっているので分かりやすい。ギターのリフが印象的。 Mld.Spd.Key.Cla.

4-Heart Of Steel (ハート・オブ・スティール)

アルバムタイトルトラックのミドルテンポのメタルチューン。サビの歌メロが良い。 Mld.

5-S.O.S. (エス・オー・エス)

御存知ABBAの代表曲のカヴァー。奇をてらわないシンプルなアレンジは好感が持てるとも言えるが、悪く言えばただのカラオケのようでもある。ただ、彼らが演奏してオリヴァー・ハートマンの歌声を乗せれば、それは十分に聴く価値のある1曲になっている。 Mld.

6-King Of Your Dreams (キング・オブ・ユア・ドリームス)

イントロからスピード感あふれるメロディックスピードメタルナンバー。 Mld.Spd.

7-Princess Of The Night (プリンセス・オブ・ザ・ナイト)

スローテンポのバラード。静かでしっとりとした雰囲気。ちょっと暗い。曲は悪くないが、特筆して良いということもないか。息抜き的な存在の1曲。

8-Goodbye (グッバイ)

ギターで奏でるメインのメロディラインが非常にフックのあり、印象に残るアップテンポのメタルチューン。静かに始まりテンポアップする展開はやはりカッコいい。前の曲が良いクッションになっている。 Mld.Spd.

9-Why Do You Cry ? (ホワイ・ドゥ・ユー・クライ?)

静かでへヴィなスローテンポのメタルナンバー。

10-Don't You Believe A Stranger (ドント・ユー・ビリーブ・ア・ストレンジャー)

シンプルではあるがクールなギターがカッコ良いアップテンポのメタルチューン。タイトルがそのままサビの歌詞になっており、歌メロもキャッチーで耳に残りやすい。 Mld.Spd.

11-Chopin: Etude No.4 Op.10 (ショパン:練習曲 第4番 作品10)

ショパンのメタルカヴァーで非常にスピーディでカッコ良い。2分少々と短い。 Mld.Spd.

12-Logical Song (ロジカル・ソング)

日本盤ボーナストラック。SUPERTRAMPという1970年デビューの英国のロックバンドのカヴァー。オリジナルよりもロック色を強めたミドルテンポの1曲になっている。エンディングはフェードアウトパターン。

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DRAGONCHASER (ドラゴンチェイサー) (3rd/2001)

DRAGONCHASERジャケット画像

通算3枚目のアルバム。ジャケットデザインはいまひとつだが、内容は期待通りの上質なネオクラシカル、もしくはメロディックスピードメタル作品。ニーベルンゲン伝説を元に作られたとのこと。前作からドラマーがまた交代した模様でLUKIと表記されており、ユルゲン・ルーカスかと思われる。

1-Dragonchaser (ドラゴンチェイサー)

オープニングでアルバムタイトルトラック。イントロからテクニカルでしびれるギターで始まるスピードナンバー。キーボードソロも必聴。以下の動画は2023年バージョンでリック・アルティが歌っている様子が確認できる。ミュージックビデオ兼リリックビデオでもある。(この曲に限らずオリヴァー・ハートマン在籍時の公式のビデオクリップは存在が確認できないのが残念でならない) Mld.Spd.Key.

2-Ages Of Glory (エイジズ・オブ・グローリー)

こちらも疾走感のあるメタルナンバー。明るめの雰囲気で高揚感を感じる。弾きまくりギターソロはシンプルにカッコ良い。 Mld.Spd.Bri.

3-Crucifid (クルシファイド)

畳みかけるように続く疾走曲。ややテンポは抑え気味なのでアップテンポくらいな印象で、若干の変化もある。曲はなかなか良い。 Mld.Spd.

4-Beethoven, 5th Symphony (ベートーヴェン交響曲第5番)

ベートーベンの運命といえば説明は不要か。クラシックの名曲のメタルカヴァーシリーズが今作も。良いアレンジでカッコ良い。8分超のインスト。 Mld.Spd.

5-Heaven Can Wait(ヘヴン・キャン・ウェイト)

スローで重めな雰囲気の1曲。ガンマレイの同タイトルの曲は明るい印象だが、それとは正反対。 Drk.

6-The Winner Takes It All (ウィナー・テイクス・イット・オール)

こちらも定番のABBAのカヴァー。個人的に好きな曲でオリヴァー・ハートマンが歌うということにさらに価値がある。メタルアレンジということはなく、原曲に近い仕上がり。イントロのピアノが好き。歌詞にはどうやら男女・夫婦間のドロドロとした背景があるようだが、それは気にせず、とにかく曲が素晴らしい。 Mld.Key.

7-My Bleeding Heart (マイ・ブリーディング・ハート)

非常に静かに始まる7分近い曲。ピアノが印象的なスローナンバーで雰囲気は暗めなバラード。曲は悪くない。 Key.Drk.

8-Two Kings (トゥー・キングス)

序盤以来のスピードメタルナンバー。曲がなかなか良く、サビのメロディも良い。テクニカルなギタープレイも光る。 Mld.Spd.

9-Too Late (トゥー・レイト)

イントロからスピーディでしびれるギターが印象的な疾走曲。速いだけでなく曲も良い。 Mld.Spd.

10-Ases Death (エイゼズ・デス)

スローテンポのインストでアルバム本編のエンディング。タイトルはアイアンメイデンのあの曲にちょっと似ている。(そうでもない?)

11-Bandineri (バンディネリ)

日本盤ボーナストラック。バッハの管弦楽曲第2番をメタルアレンジしたものと思われる。つづりがちょっと違う(Badinerie)が曲は同じ(ドイツ語表記とか?)。

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ONLY HUMAN (オンリー・ヒューマン) (4th/2002)

ONLY HUMANジャケット画像

4thアルバム。スピードナンバーが多く、いかにもネオクラらしい曲もある。なによりヴォーカルのメロディラインが良く、オリヴァー・ハートマンの歌声もマッチしていて心地良い。前作までは欠かさず入っていたABBAのカヴァーは入っていない。それでもクラシック2曲、ラス・バラッド1曲とカヴァー曲は3曲も収録。批判的な意見もあるようだが、個人的には良いと思う。彼らの場合、このアルバムでは11曲もオリジナル曲があるわけだし、聴いているほうも適度にリラックスできるし、作品全体の流れもできて、より楽しめて良い。なお、プロデューサーはHEAVENS GATEでお馴染みのサシャ・ピート。このアルバム制作時のメンバーは、オリヴァー・ハートマン(Vo)、オーラフ・レンク(G)、ライナルド・ケーニッヒ(G)、ヨヒェン・シュナー(B)、ユルゲン・ルーカス(Dr)、ウリ・ミューラー(Key)という6人。オリヴァー・ハートマンはこのアルバムを最後に脱退。残念過ぎる。

1-The Time Has Come (ザ・タイム・ハズ・カム)

イントロのキーボードやクワイアの荘厳なムードがネオクラ好きにはたまらない疾走曲。 サビはキャッチーで、聴きやすい曲。キーボードの活躍度も大きい。 アルバムの1曲目としてマッチしており、つかみはバッチリ。 Mld.Spd.Key.Cla.

2-ONLY HUMAN (オンリー・ヒューマン)

アルバムタイトルトラック。1曲目と並び、このアルバムのリーダートラック。 アップテンポのメロディックメタルナンバー。歌メロが良く、高揚感のあるブリッジからサビへの流れが良い。 Mld.Key.

3-Take My Pain (テイク・マイ・ペイン)

ヘヴィなギターのリフが響くミドルテンポのメタルチューン。それでも歌メロはなかなか良い。 決して批判ではないが、とてもイングヴェイっぽい部分がある。

4-Fly To The Rainbow (フライ・トゥ・ザ・レインボー)

スピード感のあるリフで始まるアグレッシヴなメタルチューン。歌メロが非常にキャッチーで◎。 テクニカルなギターソロも聴きどころの一つ。 Mld.Spd.

5-Hold Your Fire (ホールド・ユア・ファイア)

スピード感のあるリフで始まるアグレッシヴなメタルチューン。歌メロが非常にキャッチーで◎。 テクニカルなギターソロも聴きどころの一つ。 Drk.

6-Four Seasons / Spring (協奏曲集「四季」より第一番ホ長調”春”)

あの有名なヴィヴァルディの四季から春。 クラシックの名曲もこの音楽性なら、非常にマッチしている。 Mld.Cla.

7-Take Me Away (テイク・ミー・アウェイ)

テクニカルなプレイで始まるスピードメタルナンバー。歌メロはブリッジの部分が特に高揚感があり、明るい雰囲気。 ギターメロディも良い。かなりオススメ。 Mld.Spd.Key.

8-Time (タイム)

スローテンポで怪しげな雰囲気の曲。じっくりと聴かせるタイプ。 Drk.

9-Solfeggietto (ソルフェジエット)

約1分の短いインストゥルメンタル。クラシックのカヴァーで、ほぼギターのみの演奏。J.S.バッハの息子である C.P.E.(カール・フィリップ・エマニュエル)バッハの曲。 Mld.Spd.Key.

10-Sing This Song (シング・ディス・ソング)

不思議なムードが漂うスローテンポのメタルナンバー。歌メロはなかなか良い。 Mld.Key.

11-Witches Dance (ウィッチズ・ダンス)

キャッチーなメロディのスピードメタルチューン。ブリッジからサビへの流れは特に高揚感があり盛り上がる。 かなりオススメな曲。 Mld.Spd.Key.

12-Wings To Fly (ウィング・トゥ・フライ)

静かな雰囲気でじっくりと聴かせるスローバラード。 Mld.Key.

13-I Surrender (アイ・サレンダー)

ラス・バラードのカヴァーで、RAINBOWのバージョンとほぼ同じなので、RAINBOWのカヴァーと言ってもいい。 非常にキャッチーな歌メロが特徴のポップなナンバー。 Mld.Key.

14-Heroes Of Honor (ヒーローズ・オブ・オナー)

ボーナストラック、には勿体無い曲。疾走感あふれるメタルナンバー。歌メロも非常に良く、サビのコーラスのハーモニーが美しい。 Mld.Spd.

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